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2023年05月08日の記事は以下のとおりです。

誰にも言わない

何が怖いって、「最初は威嚇やったんです 勝つための……」から始まる告白が、南のモノローグでしかないってことなんですよ。

どういうことかと言うと、あのシーンに限らず、南は一年前のIH後からずっとあんなふうに自分とだけ話していたのではないかと感じるんですね。藤真事件の真相(故意ではなかった)は読者にとって周知の事実だけど、作中人物の中にそれを知っていた(南から言葉ではっきりと知らされていた)人間は一人もいなかったんじゃないかとまで思えてきてしまう。

南が呪文のように唱え続ける「勝たなあかん」は「結果がすべて」と言い換えることができて、その考え方に固執しすぎた南は、一連のエースキラー事件に対するスタンスをも同じ方向へ決定づけてしまったのではないでしょうか。

ようは「結果のみで判断される」→「勝利という目的達成に寄与しない過程や個人的事情はどうでもいい」→「言い訳も不要(他人に気持ちをわかってもらうことを諦める)」→「事件の真相は封印する(誰にも言わない)」というような「正当化」が南の頭の中で行われてしまったのではと推察します。

そもそも、威嚇行為自体がアンスポーツマンライクな行いであり、本当に「威嚇やった」としても、言い訳にできるようなものではありません。最初から威嚇行為をしなければよかったからです。だからこそ、余計に言い出せなくなってしまったという面もあるでしょう。威嚇行為を肯定した選択が、結果的に自らの首を締めることに繋がった。より南を後戻りできなくさせた。あの肘打ちが純粋な偶然の事故であったなら、後ろめたさを感じることなく「違うんです」と言えたのかもしれない。

いくらオフェンス重視のラン&ガンを指導していたとはいえ、あの北野さんが選手の威嚇行為を黙認するはずはないでしょうから、「威嚇行為をしてでも勝つ」と決めたのはきっと南自身です。おそらく、南がその決断をしたターニングポイントが、北野さんの解雇と二年のIHまでの間の一年間のどこかにあったのだと思います。

北野さんの解雇時期は、南たちが一年の時のIH直後だと推定しているので、そこから二年のIHまでの間に挟まる、

①一年の国体

②一年のウィンターカップ

③二年のIH大阪予選中 or その少し前

この三つのいずれか(の前後時期)に関連して、南の意識変化が起こったのではないかと思います。①と②ではまだ南も控えの可能性が高そうに思うので、消去法で③が有力かな。

豊玉戦での、岸本の南に対する態度を見ていると、南は岸本にも、すべてを語っていないように見えるんですよね。でもそれは岸本を信頼していなかったからではなく、上記のような流れで「誰にも言わない」を実行した結果なんだと思います。「誰にも言えなかった」のではなく、「誰にも言わない」と南自身が決めた。

どこかのタイミングで、岸本が南に「あれは故意だったのか事故だったのか」を問いただしたかどうかについては解釈に迷うところでして……。岸本は南のこと(南の人間としての本質が善であること)をよく知っているはずなので、信頼の根拠を言葉で求めなくても、そんなことをする奴ではないと信じてくれたような気はする。

岸本がぶつけた「お前はなんやねん南!」「お前は豊玉のエースやぞ!」に込められた感情と、それを受け止めた南の混乱と葛藤についてはまた次別の記事で(考えがまとまっていない)

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