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2023年08月14日の記事は以下のとおりです。

行動原理

  • 2023/08/14 21:52
  • カテゴリー:雑記

キャラクター造形に欠かせない〝行動原理〟という概念についてあらためて考えた。

個々のキャラクターの人物像を決定づける行動原理。物語の中でどういう行動を取るか取らないか、どんな台詞を吐くか吐かないか、起こる出来事に対してどういったリアクションを取るのか取らないのかなどの選択を左右する重要な設定。そこの解釈が原作のキャラ造形とズレているとキャラブレして見える。いわゆる「○○(キャラ名)はそんなこと言わない、しない」ってやつですね。二次創作だからブレててもいいっちゃいいんですけど、もし原作に描かれている魅力を保持しながら二次創作をしたい、と少しでも思うのであれば、原作に開示されている事実からキャラごとの行動原理を正確にすくい上げる(できれば設定表を作る)ことが、何よりも優先される作業だと思います。それが上手くできている二次創作は読み手から「原作のキャラっぽさがある」と評される、はず。

【キャラ設定表の項目】
・経歴
・家族構成
・性格(縛られるのを嫌う。直感で動くなど)
・趣味(音楽など)
・習性(片付けが苦手。買い物好きなど)
・会話の仕方(本筋から外れる。早口など)
・ストレスに対する反応(反発するなど)
・好きな言葉(下剋上など)
・性格を一言で表すと?(行動が大胆で衝動的など)

これは一次文芸の設定表の転載ですが、二次創作でもほぼ変わらないと思う。一次がゼロから作っていくのに対して、二次は原作から拾える所は拾って不明な箇所は妄想で埋める。その違いだけ。同じページに「作者とは価値観や行動原理が異なるキャラは、基本的に動かしづらい」と書かれていて、それはそうなんですが、やっかいなのは、人間は自分と価値観の異なる人物により惹かれる傾向があるということです。一種の憧れなんでしょうね。オタクもそうじゃないかな? 共感ベースでしか推せないって人もいると思いますが、わたしは自分にないものを持っているキャラにより惹かれます。

流川とかわかりやすいですよね。「バスケがうまくなりたい」「日本一の高校生になる」「誰にも負けたくない」これらの行動動機が台詞でも行動でも示されている。加えて、嘘をつかないから、自己認識と他者認識にも祖語がない。めちゃくちゃわかりやすいキャラクターです。言葉数が多い=わかりやすい人物、ではないんですよ。言葉は嘘をつくので。本人すら気づかない嘘をつく。自己保身だったり、自己防衛だったり、欺瞞だったり。ただ、流川のこの在り方は「これと決めたらそれ以外のことはどうでもいい」とも解釈でき、目標のためには他のすべてを切り捨てる冷酷さを持っているとも読み取れます。Twitterで再三言っている「流川には怖い一面があると思う」はこれが根拠です。しかも駆け引きとか試し行動じゃない。行動に出た時点でもう腹がくくられてる。なので、ターゲットになった人間も自ずと本気で向かわざるを得ないという。

土屋なんかは作中描写が少なすぎて行動原理がなんなのかすくい上げることすらできない。これ以上公式から情報が出てくる望みも限りなく薄い彼を二次創作で使おうと思ったら、先の設定表をほぼ妄想で埋めるしかないんです。

大栄と豊玉と陵南(土屋と南と仙道)

赤木「そもそも陵南が強くなったのはあいつ(仙道)が入ってからだからな。どうやって止めるか……。あいつには流川をぶつける」

――新装版2巻 #23『ただ者じゃない』


彦一「大栄学園……4番を中心によくまとまったええチームや……!! あの4番……長身のフロアリーダーで味方を生かすのが上手い!! どことなく仙道さんタイプやな……。本当の要チェックはこの大栄学園やで……!! 4番土屋敦――要チェックや!! 新生・陵南の目標になるチームかも知れんで……!!」

――新装版14巻 #188『彦一、大阪へ帰る』

 

以上を踏まえて思うことは、もしかして大栄も土屋が入ってから強くなったんじゃね? です。

テルオの手紙を読んで「豊玉高校に入ったんやな……名門や」とつぶやいた彦一が大栄学園はノーチェックだったことからも、大栄が古くからの強豪校ではないことが推測できます。もし大栄が豊玉と毎年大阪予選で一位を争うような古豪であったなら、テルオが「中二の時に転校した」時点でまだ大阪にいた彦一がそれを知らないはずはない。伝統ある強豪校の豊玉に対して、大栄はおそらく新興勢力の部類なんだと思う。

そこまで強くなかった大栄であれば、土屋も藤真のように一年からスタメン入りしていた可能性も考えられなくはない。ただ、藤真の回想シーンにより、南が二年時にレギュラー入り(というかほぼスタメン確実)しているのは確実で、土屋が一年からレギュラー入りするようなエース選手だったとしたら、その二年の頃にも土屋と当たってるはずなんですよね。じゃあその時は南は土屋に対してどう対応したのかという疑問が湧くんですけど、これは南がどうしたかというより土屋がどうしたかを考えたほうが答えを導き出しやすい。

南が藤真に偶然のバッテングを発生させてしまった理由は、


「威嚇にも一歩も引かない勇気をもった相手やった」

――新装版15巻 #213『エースキラーの最期』


からです。ようするに、藤真が引いていればああはならなかったってこと。負けず嫌いな性格を持つ藤真と流川だからこそああなった。

同じ大阪地区予選でインターハイへの椅子を争っているはずの土屋が藤真や流川のような事態に陥ってないということは、土屋は状況を見て〝引ける〟タイプの選手なんだろうと思います。原作での岸本のあしらい方を見ても、一対一の勝負に極端にこだわる人間ではない。岸本のディフェンスをかわしてゴールを決めたあとガッツポーズをしているところを見ると、勝利へのこだわりや執念はもちろんそれなりにある。それは当たり前ですね。それくらいの闘争心がなかったらあそこまで行けない。ただ、個人プレー上等なバリバリの点取り屋からパスの面白さに目覚めてプレイスタイルを変えた仙道とは違って、もともとの気質が戦わないでいいなら戦わない方を取る、負けるが勝ちみたいなことができる、土屋はそういうイメージ。個人の成績や実績よりチームとしての勝敗を優先するタイプ、というと、根本的な考え方は南と近いように思える。だからこそ南の考えが読み取れたのかもしれない。相手を潰すことが真の目的ではないと。この威嚇行為もチームとしての勝利を見据えてのことだと。真っ向勝負は得策ではないと。

どのタイミングでその気づきを得たのかということを考えてみるとおそらく二年のインターハイ予選ではないでしょうか。大阪予選で南の威嚇行為に気づいた土屋は、怖さから腰が引けてではなく、引きながら戦う戦法を取った。ようは、土屋は藤真事件の前に南のあやうさに気づいていたということです。大阪代表が大栄と豊玉に決まったあと、土屋が南に威嚇行為についてなにかしら忠告めいたことを言った……かどうかは悩むところですよねえ。あの二人の親密度とか、土屋の性格や価値観なんかによると思います。土屋のキャラ付けがまだフワフワしているので、この問題については現段階ではなんとも言えない。

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