予想していたが盛り上がらない
3Dにしてリバイバルヒットを狙おうとした安易な目論見は思い切り外れましたね。 下の記事内で紹介した映画秘宝を読みましたが、あらためて深作監督と原作者の製作意図が乖離していると感じました。当時、映画化にあたって非常に残念だったのは脚本なんです。原作のどこをどう読んだらあんなホンになるのか不思議でしょうがなかった。読解力があるとかないとかそういうレベルじゃない。改悪もいいとこですよ。デキの悪い息子なんか使わず、笠原和夫あたりに脚本を書いてもらいたかったな。深作の甘い親心があの映画を駄目にした。わたしは今でもそう思っています。なので2は未見です。今後も見るつもりはない。 そして、いかに当時の騒動が「中学生同士が殺し合いをする」という設定にのみ、過剰反応していたかも思い知らされました。そのおかげであれだけ話題になったとも言えるので、恩義がないわけじゃないですが、頼んだ覚えはないのでありがとうとは思わない。 映画BRの特集なので仕方ないんですが、もともと作者は、子供と大人の関係がどうとか、当時の時代的・社会的背景との関連性とか、そういった大層なメッセージを伝えるためにあの話を書いたわけじゃないということが置き去りにされている。下敷きになっているのが「死のロングウォーク」であるとか、作中に登場する「城岩町」がキングの小説に出てくる「キャッスル・ロック」を日本語に置き換えたものというエピソードからわかるように、作者はスティーブン・キングのファンです。一貫して「娯楽である」ことを信条としてきたキングを尊敬しているのならば、自ずと作者も同じ信条に貫かれているはずだと考えるがどうだろうか?
社会風刺を目的とするなら、今だったら「高額バイト」という餌で釣って集めた派遣労働者同士を殺し合わせるとかありかもしれない。水嶋ヒロの次回作のネタにどうかな。